ひしっ。

高校で出会った親友と、熱い熱い包容を交わす。



「はあ…、この1度ハマったら抜け出せない可愛いゆるキャラ的存在ともしばらくのお別れかあ~…」


「えっ、なにそれ!なーちんわたしのことずっとそんなふうに思ってたのっ」


「ふふっ。そーいうところも可愛くてハマるのよねー」



確かに寂しい。
寂しいけれど、1年。

そこだけはお母さんもお父さんもじいちゃんも約束してくれて、そこに関してはまったく心配はなかった。


……のだけど、なんせ不安というものは別のところにあるもので。



「で、どこの高校?」



ギクリ。

聞かれるシミュレーションは家で何回も練習してきたはずなのに、実際に聞かれると戸惑うものだ。



「えーっとねえ、隣町のねえ、」


「隣町の?」


「…あまり目立たない田舎のねえ、」


「田舎の?」


「……なんだっけな?あはっ、名前も忘れちゃうくらいのね!ところなのっ」