「俺はさ琥珀、“みんなで”やってたつもりだよ。誰の音も大切で、お前が作った歌は俺の曲だとも思ってた」



みんな揃って狐のお面を被って、みんなで覆面をして、性別も名前も年齢も非公開にして、みんなで俺はやってたつもりだ。


Vocal. 志音
Guitar. 頼
Bass. 琥珀
Drum. 陸海


俺たちだけが知ってる情報で楽しんでいたつもりなんだ───Ark.を。


でもお前はそうじゃなかった。

お前は、俺やムツミのことは道具としか思っていなかった。



「お前は……“志音とふたりだけで”、Ark.をやってたんだろ」



やっと分かったよ俺。


お前がなんでずっと「志音が居ないArk.は意味がない」って言い続けていたのかも、志音が脱退してから解散を選んだのかも。

代わりだとしても俺にすら歌わせてくれなかったのかも。



「……ごめん」



ごめん、じゃないんだよ。
「ごめん」だけはやめろ。


嘘でも否定しろよ。

それができないなら、少しでも違う会話として何か言えって。


おまえの「ごめん」は、人を平気で傷つけてくる。