頼side
───それは、今から数ヶ月前のこと。
高校1年生の2月半ばあたりだったか。
その日、勝手に早退していった幼なじみ宅へ、俺は担任から渡してくれと頼まれたプリントがあったことを思い出して向かっていた。
琥珀とは小学生の頃からの顔見知りということもあり、この城みたいな一軒家の前を通っても不審に思われない1人が俺。
「あ、ちょうど良かった」
「……頼、」
「勝手に早退されたら困るんだけど。こうやってお前への雑用をぜんぶ頼まれるから、俺が」
これまた立派な門の前、俺がインターホンを鳴らすより早くに歩いてきた幼なじみ。
「…来年もコース変更はしないんでしょ?」
俺はこのプリントに“変更なし”って書いたよ。
俺たちが通う少し特殊な学校は、どうにも学年が上がる前にコース変更ができるらしい。
俺は幼なじみに“せめてそれだけはしてくれるなよ”と、今の言葉のなかに伝えたってのに。
「僕もう、時期を見て学校やめようかなって思ってる」
「…誰かを追いかけてアメリカに留学しにでも行くつもり?」
「………」
───それは、今から数ヶ月前のこと。
高校1年生の2月半ばあたりだったか。
その日、勝手に早退していった幼なじみ宅へ、俺は担任から渡してくれと頼まれたプリントがあったことを思い出して向かっていた。
琥珀とは小学生の頃からの顔見知りということもあり、この城みたいな一軒家の前を通っても不審に思われない1人が俺。
「あ、ちょうど良かった」
「……頼、」
「勝手に早退されたら困るんだけど。こうやってお前への雑用をぜんぶ頼まれるから、俺が」
これまた立派な門の前、俺がインターホンを鳴らすより早くに歩いてきた幼なじみ。
「…来年もコース変更はしないんでしょ?」
俺はこのプリントに“変更なし”って書いたよ。
俺たちが通う少し特殊な学校は、どうにも学年が上がる前にコース変更ができるらしい。
俺は幼なじみに“せめてそれだけはしてくれるなよ”と、今の言葉のなかに伝えたってのに。
「僕もう、時期を見て学校やめようかなって思ってる」
「…誰かを追いかけてアメリカに留学しにでも行くつもり?」
「………」