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どうにか生徒たちの波から抜け出した私達だったけれど、廊下はすでに大混雑を起こしていた。
我先に逃げ出そうとしている生徒たちが前へ進むことができない。


「薫、こっちだ!」


しっかり手を握り合っていた圭太に引っ張られて隣の教室へ転がり込む。
ここの生徒たちも外へ出ようと考えたのだろう、教室内には数人の生徒の姿しか残っていなかった。


「ひとまずここにいれば安全だろ」


圭太は疲れ切った様子で近くの椅子に座り込んでしまった。
自分たちの教室へ戻ることもできないし、仕方がない。
麻子の姿を確認することができなかったのだけが、気がかりだ。

しばらく椅子に座っていると少しずつ気持ちが落ち着いてくる。
そうするとまた空腹感が私を襲い始めていた。
大切に持っていたペットボトルの水を口に含んでゆっくりと飲み込む。
なんの味もしない水だけれど、圭太が準備してくれたというだけで特別感がある。


「大丈夫か?」

「うん。まだ、どうにか」


本当はずっと空腹を我慢している状況だったけれど、私は頷いて見せた。
水の他に食べられるものは人肉しかない。
そんなものを食べるなんて、絶対に嫌だった。