「やめろよ!」


引き倒され、感染を確認された男子生徒が必死で抵抗して大谷くんの顔に爪を立てた。
ガリッと音がして大谷くんの頬から血が流れ出す。

けれど大谷くんはそれも気にせず、強引に男子生徒と立たせた。
今度は小柄な女子生徒とは違うから、仲間を使って両脇から挟み込むようにして歩かせている。


「助けて! 俺だって感染したくてしたわけじゃない! お前らだって、もう感染してるかもしれないんだぞ!」


必死の抵抗も虚しく、2人がかりで窓から突き落とされてしまう。


「くそっ。なんてむごい」


圭太が吐きそうな顔でうつむいたのでハッと我に返った。
ここにいたら危険だ。
私達まで巻き込まれてしまう。

窓の外から香ってくる血の香りについ引き寄せられてしまっていたことは、絶対に言えない。


「早く、ここから出よう」


私は圭太と共に席を立ったのだった。