しかし大谷くんは気にする素振りもみせず、1人の襟首を掴んで引き寄せた。
ブラウスの第一ボタンが外れ、そこから体を覗き込んだ。


「ちょっと、やめなよ!!」


女子が非難の声を上げる。


「感染者に下心なんで出すわけねぇだろ」


大谷くんは吐き捨てるように言うと、女子生徒の腕を掴んで引きずるように窓辺に近づいていく。


「ねぇやめて。お願い。なんでもするから」


か細い声で懇願する女子生徒は無力に窓の前まで連れてこられてしまった。


「なんでもする? じゃあ、ここから飛び降りろよ」


大谷くんの命令に女子生徒の頬に涙が伝う。


「それは嫌。それだけは……!」

「うるせぇ! なんでもするって言ったのは自分だろうが!」

「だって……」


恐怖で全身が震えて立っていることもできない状態なのに、大谷くんは追い詰めるように女子生徒の体を窓へ向けて押す。
女子生徒は思わず両手を窓のさんに置いて体のバランスを保ってしまった。

それを見越していたのだろう。
大谷くんは女子生徒の背後に回ると両足を抱え上げたのだ。
小柄な女子生徒の体はふわりと宙を浮く。