中には普段の憂さ晴らしでもするかのように椅子や机を持ち上げて壁投げつけはじめる生徒もいる。
ここにいたら危ないかも……。
そう思ったとき、圭太が戻ってきた。
手には水がたっぷりと入ったペットボトルが握りしめられている。


「これで少しはマシになるかも」

「ありがとう」


差し出されたペットボトルにすぐに口をつけ、一気に飲み込んでいく。
喉を鳴らして半分くらいまで飲んだところで、ようやく口を離した。
少しは空腹感が和らいだようにも感じられるけれど、それもつかの間のことだろう。
私のお腹は水だけではいっぱいになれないくらい、空腹を感じている。


「少しマシになったよ。ありがとう」


圭太の気持ちを踏みにじりたくなくて微笑む。
圭太の表情も少し柔らかくなった。


「よぉし! 感染してるやつら、こっちに集まれよ!」


そんな声が聞こえきて視線を向けると、クラス内で1番乱暴者と言われている大谷くんが窓の近くに立って教室を見回していた。
大谷くんの周りには友人が3人待機している。


「まずは感染しているかどうか、シャツを脱いで確認するんだ」


大谷くんはそう言うと自らのシャツを脱ぎ始めた。
そこにはよく日焼けしたまっさらな肌が出現する。