「あぁ。といっても、それも徐々に増えてきている。建物内で感染した人を食い止めることができなかったんだ。それでも、私達は命令が解かれるまでは見張ることしかできない」


悔しそうに拳を握りしめるその姿は自分の無力さを呪っているように見えた。


「……わかりました。教えてくださってありがとうございます」


私達のためにこの人は内密にしていおくという命令を無視してくれたんだ。
それだけで、胸の奥が熱くなっていく。
女子生徒を無残にも撃ち殺してしまった自衛隊員と同一の仕事だとはとても思えなかった。


「他の連中も俺と同じで、本当は胸を痛めているんだ。君たちとなるべく接触しないようにしているのは、情が移らないようにするためだ」


自衛隊員はそれだけ告げると、仲間たちにバレない内に持ち場へ戻ってしまったのだった。