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絶望的な気分で空き教室に座り込んでいた私達だけれど、いつまでもこうしているわけにはいかない。
重たい体をどうにか動かして廊下の様子を伺った。

今1階の廊下は静かで足音一つ聞こえてこない。
対して2階からはさっきから騒々しい声が聞こえ続けている。
他の生徒たちも現状に気が付き始めているのかもしれない。


「もう少ししたら出口に人が殺到してくるかもしれない。その前に出られる場所がないか探しに行こう」


圭太の言葉に頷いて、私達はまず職員用の玄関へ向かった。
職員用の玄関と来客用の玄関は一緒になっていて、そこにもガスマスク姿の自衛隊員たちが5人、出入り口を塞ぐようにして立っていた。


「ダメだ。ここからも出られない」


残っている玄関は2年生と3年生が共同で使っている少し大きめの玄関のみだ。
きっと、そこもすでに封鎖されていて学校から出ようとすれば撃ち殺されてしまうのだろう。

目の前で銃撃された女子生徒の姿を思い出して気分が重たくなっていく。
私と圭太の間に沈黙が続くようになり、気がつけば目的の場所が見えてきていた。
構内で一番広い出入り口には10人くらいの自衛隊員が私達を見張っていることがわかった。


「これじゃどこからも出られないよ」