三編みをした彼女は叫びながら自衛隊員たちへ助けを求める。
襲われているということは、彼女は感染していない生徒なんだろう。
しかし、近づいてくる彼女へ向けて自衛隊員の1人が銃を向けたのだ。
その光景に思わず足を止める。


「このままじゃ殺されちゃう!」


泣きじゃくっている彼女には銃口が見えていなかった。
まさか、自衛隊員がこちらへ銃を向けているだなんて、考えてもいなかったんだろう。
彼女は足を止めなかった。


「止まれ! 感染の可能性のある人間を出すわけにはいかない!」


自衛隊員の叫び声よりも、自分が食い殺されてしまう恐怖の方が勝っていたのだろう、彼女は真正面から突っ込んでいくように走り、途中に響いた銃声と共に足の動きを止めていた。


「あ……れ? なんで……?」


打たれた場所で棒立ちになり、どうして自分が銃撃されたのかもわからずにまばたきを繰り返す。
やがて彼女の体は横倒しに倒れ込み、赤い血が玄関タイルに広がっていく。
自衛隊員たちはトランシーバーで上層部となにか連絡を取り合い、そしてその場に静けさが降りてきたのだった。