馬乗りのなっている方の生徒には見覚えがあってポツリと呟く。
この学校では運動部に力を入れていて、特に柔道部員たちはみんな強い。
去年の地区大会で優勝した生徒だったはずだ。


「おい、なにしてんだ」


眉間にシワを寄せた圭太が近づこうとしたその瞬間だった。
柔道部の生徒が、羽交い締めにしている生徒の首に噛み付いたのだ。


「ギャアア!」


鼓膜をつんざくような悲鳴が廊下に響き渡り、ベリベリと肉片が噛みちぎられていく音が続く。


「やめろ! やめろよ!」


もがく男子生徒を高速したまま、くちゃくちゃと音を立てながら肉片を食べていく。
首から溢れ出した血が廊下に血溜まりをつくり、私はその場から動けなくなってしまった。


「うまい。これなら食べられる。これなら」


柔道部の生徒はぶつぶつと呟いて、更に男子生徒の体に噛み付く。
犬歯が太い血管を噛みちぎったようで、男子生徒は小さく悲鳴を上げたのを最後に力をなくしていく。


「食べれる。食べれる。うまい」