「保険の先生も全然戻って来ないな。このままもう少し様子を見るしかないか」


言いながら窓へ近づいて外を確認している。
そして渋面を作って戻ってきた。


「さっきよりも自衛隊員の姿が増えてるみたいだ」

「じゃあ、もう外へは出られないの?」

「わからない」


圭太は力なく左右に首をふる。
学校の外はどんどん厳戒体制になっているようで、生徒たちの姿は見えない。
ユカリが感染していたとして、空気感染するとして、その感染力が凄まじかったとすれば?
様々な過程に過ぎないけえれど、そんな最悪なウイルスだったとすれば、私達はここに閉じ込められてしまったという可能性も出てくる。


「街自体がすでに封鎖されてるんだ。きっと、外に出ることはできる」


私の不安を払拭するように圭太が言う。


「そうだよね? 街がすでに封鎖されてるんだから、学校からは出られるはずだよね?」


それでも感染を最小限にするために、感染者が出た建物をそれぞれ封鎖していってるかもしれない。
だけど、その可能性については見ないフリをした。