「薫!?」


圭太がすぐに振り向いて駆け寄ってきた。
そして私の体に出現した赤い斑点を見て愕然とする。


「これ……ユカリのときと同じ……」


声が震える。
体は熱を帯びて熱いのに、凍えるように寒い。


「嘘だろ。そんな」


圭太が手を伸ばしてきたので無意識の内にそれを振り払っていた。
今更圭太を突き放したってもう遅いかも知れない。
圭太だってもう感染しているかも!


「どうしよう。私もユカリみたいになっちゃう……!」


なにも食べることができずに真っ青になっていたユカリ。
ゼリー飲料を食べただけで運ばれてしまったユカリ。


「大丈夫。まだ感染したなんて決まってないだろ」

「でも! 体がこんなことになったことなんて今までなかったよ!? ネット記事で見たのと同じ状態になってるじゃん!」


叫びながら壁に向けて枕を投げつける。
枕はボスッと音を立てて床に落下した。