「うん」


爆発した研究所からは身元不明のふたりの遺体が発見されていた。
それは損傷が激しい為、性別もわからないらしい。
けれど、おそらくそれは圭太と、圭太の父親のものだろう。


「でも」


ふと気になっていたことが脳裏をよぎる。
研究施設は様々な場所にあると、誰かが言っていなかっただろうか?
今回の施設はほんの一部に過ぎず、まだまだ沢山あるんじゃないか?
そんな不安が胸を刺激する。


「どうした?」

「……ううん、なんでもない」


私は左右に首を振ると同時に、自分の考えすぎに苦笑いを浮かべた。
直が言う通り、すべては終わったんだ。
決して忘れることはできない出来事だったけれど、私達は徐々に日常へ戻っていくことになるだろう。


そしてすべて忘れた時……それは、再び。



END