☆☆☆

それから数日後。
事件は公になり、ニュース番組ではひっきりなしにこの街のことを報道していた。
私と直は隣県の同じ病院に入院し、今は治療を受けている。
研究施設での点滴の効果があったのか、私達の症状は安定していて、赤い斑点も薄くなってきていた。


「薫」


ノック音のあとドアが開いて直が顔をのぞかせた。
あの日、圭太の父親を脅したような険しい表情ではなく、今はとても穏やかに微笑んでいる。


「気分転換に散歩でもしないか」

「うん。そうだね」


暗い気持ちでテレビを見ていた私は電源を落として直とふたりで中庭を歩く。
芝生が植えられている中庭は公園くらいの広さがあって、ベンチは患者たちの憩いの場となっている。


「全部、終わったんだな」


直が呟く。