すぐに立ち上がって建物へ戻ろうとする私を直が引き止めた。


「圭太が、圭太が!!」

「言ってただろ! 『自分の父親のした後始末をする必要がある』って!」

「え……」


それってまさか、施設ごと消滅させるってことだったの?
愕然として地面に両膝をつく。
施設のある方角からはまだ爆発音が聞こえてきていて、やがて煙の中に赤い炎が見え始めた。


「圭太に言われたんだ。薫を頼むって」


あの時、赤い斑点を見せつけるように現れた圭太が、廊下で話し掛けてきたときのことだ。