どこか他に出入りできる場所はないだろうか。
建物に沿って歩いていると、少し離れた場所に窓がついているのが見えた。
すぐに手をかけてみるけれど、鍵がかかっている。
試しに近くにあった大きめの石を投げつけてみるけれど、窓はヒビひとつ入らなかった。


「研究施設の窓なんだから、そう簡単に開くわけないだろ」


やけに冷静な直の声に苛立ちが募っている。


「だったら少しは手伝ってよ!」


そう怒鳴ったときだった。
窓の向こうに圭太の姿が見えたのだ。
圭太もこちらに気がついて近づいてくる。
その手にはなぜか赤いタンクが持たれていた。

中はほとんど空なのだろう、そんなに重たくはなさそうだ。


「圭太、ここを開けて!」


窓の前までやってきた圭太に声をかける。
声は聞こえているのだろう、圭太はなぜか泣き出してしまいそうな表情を浮かべた。


「できない」