悲鳴のような叫び声。
人々が駆け回る足音。


「落ち着いて! 大丈夫から落ち着いてください!」


これは研究員の声だろうか、必死になだめているようだけれど、誰も聞く耳を持っていないみたいだ。
直がそっとドアを開けて隙間から廊下の様子を見てみると、そこには我先にと出口へ急ぐ関係者たちの姿があった。


「なんなんだ?」


この施設は安全なはずだ。
この人たちは事前にワクチンを打っているし、なにも心配することなんてないはずなのに。
部屋から出ると、右手の奥から1人の男が現れた。
その人は上半身裸で、その皮膚には赤い斑点が出現している。


「圭太!?」


その男性は見間違いようもなく圭太その人で、私は目を見開いた。


「俺は関係者でワクチンを打っている! だけど感染した! ワクチンは失敗だったんだ!」


大声で叫びながら廊下をゆっくりと進んでくる。
それを見た関係者たちがみんな逃げ出していくのだ。