圭太がいなくてひとりぼっちになるくらいなら、いっそ自衛隊員に殺された方がマシかもしれない。
どうせ私は感染者で、いずれ殺されてしまうのだろうし。

涙で濡れながらよろよろと立ち上がる。
空腹でメマイを感じてすぐに倒れそうになるけれど、壁に手をついてどうにか持ちこたえた。
一歩一歩前へ進んで昇降口へ向かう。

素人に刺し殺されるくらいなら、銃で仕留めてもらったほうがずっといい。
重たい体を引きずって歩くと昇降口までの距離が永遠のように長く感じられる。

武器もなにも持っていないから、今ここで非感染者などに出逢えば勝ち目はないだろう。
グスッと鼻をすすり上げながら足を前へ前へと進ませる。


「圭太ぁ……」


誰もいない廊下へ向けて何度目かその名前を呼んだとき、階段の上から足音が聞こえてきて私は身構えた。
誰かが1階へ降りてくる!
咄嗟に身を隠せる場所を目で探すけれど、階段の前を通らないと最寄りの教室まで行くことができない。