優ちゃんが落ち着くまで

ベンチに腰掛けて慰める



『す、すみません、泣き過ぎました…』

「いいよ。だって嬉し泣きでしょ?かわいい」

『はぁ!?か、かわいいって、どこが…!』

「今日だって可愛いって言ったじゃん」



両想いになったからと

ここぞとばかりに可愛いと連呼する

俺って彼女できるとデレデレなんだなと

知りたいような知りたくなかったような事実



『…色々私が勘違いしてたんですね』

「そうだね。困っちゃうよ
俺が好きなのは優なんだけど」



ストレートに好きと言えば

また顔を真っ赤にしている

はい、それも可愛い

何しても可愛いとか天才なんじゃね?



『あ、あの最初言っておきたいんですけど…!』

「なーにー?」

『私、先輩の事、たぶん顔から好きになったんですよ?
見た目だけかよって嫌じゃないんですか?』

「まぁ俺ってかっこいいしなー仕方なくね?」



これは本音、最初はそりゃ顔からじゃね…?

俺も気づいたら好きになってたけど

たぶん最初から…



『う、うざい…ですけど、そういうとこも好きです…』

「おまっ、急にそういうこと言うなよ!」

『いい、言いますよ!だって、好きなんですもん!!』



今度はこっちが照れるパターンだった

この子も案外素直になんでも言うよな

って、思い出してみても素直だったな



「おまえさ、可愛いこと言ってんの気づいてる?」



ため息交じりに言えば

頭にクエスチョンが出てる

全く気付いてならしい

まぁいいけどさ、俺だけが知ってればいいし



『先輩と釣り合えるほど可愛いと思ってないんで!!』



だからまぁ確かに?と意地悪で肯定すれば

殴っていいですか?と拳を出された

こわいこわい、怒らせないようにしないと

でも、そういうところも含めて



「俺は優がいいの」



自分でもわかるほど

いま情けない顔だったと思う

だって頬が緩み切ってる



『わ、たしも、どんなにイケメンでも
翔先輩が…いいです…』



公園にいるであろう他の人たちには申し訳ないと思う

すごい叫んでしまった

好き過ぎてもどかしくて

腕の中に閉じ込めてやりたくて

一言謝り力強く引っ張り抱きしめる



「ハァ…すっげー好き」

『私も、です』



過去の俺、きっとそのうちいい人に出会えんぞ

そう言ってやりたい気持ちだ