次行くか。と手を差し出せば

遠慮がちに手を添えられる

それを俺はギュッと離れないように握る

柄にもなく少し恥ずかしくなり

優ちゃんの顔を見ることはできず

無言のまま目的地につく



欲しいのあれば取ってやると言えば



『あんまり興味ないんですよね、ぬいぐるみとか』



衝撃の事実を言われる

え、嘘だろ、まじで…?

鞄の中に入れてあるぬいぐるみを思い出す

昨日見つけて買ったやつだ

なんだか優ちゃんに似てる気がして

即決したもの



「じゃあ…これいらない?」

『え?』



恐る恐る出せば吃驚した顔をする



「やっぱいらないかー
優ちゃんはぬいぐるみ好きじゃねーんだもんなー」



意地悪にそんなことを言う



『い、いります!欲しいです!』

「えーどうしよっかなー」

『ください!』



一生懸命背伸びをして取ろうとする

残念俺の方が大きいから取れねーだろ

だけど俺はふと気づく

頑張って取ろうとしてるから

距離近いし可愛いし降参です

大人しく差し出します



『…ありがとうございます。大事にしますね』



良かった、喜んでくれた

ここで拒否されてたら俺の心は死んでたと思う



優ちゃんが一点を見つめている

犬のぬいぐるみだ

あれ欲しいの?と聞けばコクンと頷く

数分格闘ののち取って差し出せば



『かわいい…』



ぬいぐるみは興味ないんじゃ…?と

またしても意地悪なことを言ってしまう

俺の口!ちょっとは素直になれよ!?



『あんまりって言ったんです!
それにこの犬はせんっ』

「せん?」

『せん…ぱいに似てるから…』



取ってあげた犬のぬいぐるみを

両手で抱えながらそんなことを言う

えー…俺をどうしたいの~…

しんどすぎてため息を吐きながらしゃがむ

キモくてごめんないさいというけど

ちっげぇーわ!!!!!!

可愛すぎて困ってんだよ!!!?

人の気も知らないで

なんなのこの子…

でも嬉しそうにしてるからいっかと

他にも取るか聞けば満足したようなので

外に出ることにした