朝、琉生と登校する

チラッと横目で見れば

見たことない優しい顔でスマホをいじっている



「…翔、なんだよ」

「琉生?」

「???」

「偽物じゃねーよな」

「本物だよ」



顔をガシィッと掴めば

眉間に皺が寄る



「見たことないほど優しい顔してっから」

「…翔も優ちゃんといる時はこういう感じだろ」

「…まじで?」

「まじで」



お互いの知りたくなかった事実を知り

なんとなく気まずくなりながら門を潜る



朝なのに元気に話している2人を見つける

少し速足で近寄れば

カッパの話をしている、なんでそんな話???



「はよ。なに朝からアホな話してんの?」



俺が優ちゃんに話かけたと同時に

琉生は澪ちゃんとピンクオーラを纏わせ

話しに花を咲かせている

そんなことに気付かず優ちゃんは

ウキウキとカッパについて語る

話しの内容はマジでどうでもいいけど

一生懸命話す姿が可愛くて

馬鹿程可愛いってこいうこと…?と変な考えになった

頬を引っ張り揶揄えば

琉生たちが話に混ざってくる

それを無視していれば

流石に可哀相だろと琉生に止められる

可愛かったのに~と思っていれば

ちょっとすみません!と離れて

どこかに駆け寄って行く



『水瀬くん!』

「は…?」



目で追っていけば

俺ほどじゃないが、足元にも及ばないが

イケメンがいた

なにやら楽しそうに話しているが

ここからじゃ何も聞こえない



「そういえば昨日借りてましたよ」

「澪ちゃん!!あれなに誰!?」



勢いよく迫れば

琉生に鋭く睨まれる

ごめんって



「く、クラスメイトです」



私のジャージじゃ小さいので

水瀬くんが貸してくれたんですよ。と話す

…え、もしかして全部今までのさ

この顔が好きなだけでドキドキしてたとか

顔はタイプだけど

本命はアイツで…って可能性もあるんじゃ…?

戻ってきた優ちゃんに仲がいいのか聞けば

ちゃんと話したのは昨日らしい

じゃあ水瀬ってやつのこと

好きってわけではないよな…?



「(俺の事)」好き?」

『(顔の事?なら)大好きです』

「…っ、ハハッそうだよなー」



もうなりふり構ってられなくて

そんなことを聞いていた

澪ちゃんと琉生はギョッとしていた

なんだ、俺の事好きなんじゃん!

あーよかったよかった



ここから大きなすれ違いを起こしていることに

俺は全く気付いてなかったし

自分のことを好いている

ならいっか!と満足してしまっていた