「優?」

『…』

「優ってば!」

『あ、ごめ、なにー?』

「何はこっちの台詞!なんかあった?」

『んーまぁ、ちょっと…トイレ行ってくるわ』



トイレに入りため息をつく

先輩とのトークを開き返信する



"すみません!その日は予定があって…"



ポケットにスマホをしまい出ようとすれば

いつぶりの雨が降り注ぐ

嘘でしょ、今回なかなかにグッショリなんだけど


またあの先輩かと思い出てみれば

全く知らん先輩達だった



「アンタ、琉生の彼女でしょ?
ねぇ別れてくれない?」

『えっと…』



おっと、まさかの人違いだよ



「聞こえない?」



ここで否定しても澪に被害がいくかも

…でもあいつゴリラだから大丈夫かな?

とか呑気に考えていれば



「無視してんなよ!」



またしてもデジャブ、ビンタかな

変に冷静になってしまった

あの水ぶっかけ先輩のおかげで

水掛けられる&ビンタくらいのいじめに耐性ができた



「何してるの!!」

『またもや意外な人が来た』



噂の水ぶっかけ先輩だ



「その子は翔くん派よ!!」

『えーーー………』



予想外のフォローされて驚き

まさかの助っ人のおかげでビンタは免れ

私を囲ってた人達はちゃんと謝罪してくれて去って行った

なんだったんだ、嵐通り越して台風かよ



『あの、ありがとうございます…?』

「…私も前叩いてごめんなさい…カッとなちゃって…」



謝っても謝りきれないと頭を下げられる



『え、その、いいですよ!確かに急に
ウロウロする女が現れたらムカつきますもんね』

「そうなのよ」

『いやそこはそんなことないって言ってくださいよ』



フフッと綺麗に笑う先輩

この人、よく見ると美人さんだったんだな



「貴方が好きなら取ればいいって言ったから
陰湿なことはやめて私も頑張る事にしたの」

『そんなこと言いましたっけ…?』

「言ったわよ!だからね、負けないって言いに来たの」



宣戦布告だ



『…先輩カッコイイって思ったのに
トイレだから台無しですね』

「うるさいわね!」

『あとビチョビチョになる前に来てほしかったです』

「ご、ごめんね?私もちょっと怖くて…」



人間とはわからないものだ

話してみたら違う



『先輩、ありがとうございました!
私も負けませんから!』



水ぶっかけ先輩のおかげで元気が出た

私も頑張ろう!!!



教室へ戻り澪の肩を掴む



『復活!元気出た!頑張る!』

「滝行でもしてきたの?」

『あ!これアンタのせいなんだからね!?
琉生の彼女だろ別れろって!!』

「すまん」

『もっとちゃんと感謝して謝れ!!』

「小鳥遊、とりあえず拭け、そして着替えてこい」



顔面目掛けて水瀬にタオルを投げられる

みんな、私にもっと優しくしてくれよ