ちょっと事件?と言っていいのかわからないけど

あれからもう数週間たった

もう突然の通り雨はなくなり

卒業が近いのもあって翔先輩に告白する子が増えた

なんで知ってるかと言われれば

クラスの子たちも思い出に!と

告白しよっかなーとよく耳にするようになったからだ


私はというと今の距離感、ポジションに甘んじて

なにも行動に移せてないヘタレです



「優ちゃーん!遊びに来てやったよー!」



相変わらず有難いことに

たまにこうして先輩が教室に遊びに来てくれる

柊先輩も一緒に来て澪と話している



『先輩!そういえばそろそろ試験じゃないですか?
大丈夫ですか!?こんなとこ来てる暇なんて…』

「推薦も受けるし対策はバッチリ!」

『おお、流石です』

「癒されにおまえに会いに来た」

『癒し能力私にあります?寧ろ私が癒されちゃう
ってか死んじゃいそうになるってか』

「このもちもちのほっぺにある」

『さいきんほっぺがやわらかくなったきがします』



ウリウリといじられまくる

構ってくれるのはこの上なく幸せだけど

単に子供扱いというか

おもちゃにされてるだけな気がする



「小鳥遊、悪いちょっといいか?」

『ん、なにー?先輩ごめんないさいちょっと』



先輩の手を掴み離す



「これ先生が明日までに再提出だってよ」

『ゲッ!マジ…?うわ最悪ー…水瀬ー手伝ってよー』

「自分でやんねーと意味ねぇだろ」

『え、真面目か?そんなキャラじゃないでしょ
黙ってればそういうキャラに見えなくもないけど』

「うるせー。じゃあ今からやるか?」

『なんだ結局手伝ってくれるんじゃーん!
まさかのツンデレ?可愛いね』

「…やっぱ帰るわ」



素直じゃないなーぷぷぷっと笑えば

眉間に皺が寄っていくのが見え

鞄の紐を掴み帰るのを阻止



『あー嘘嘘嘘!!ごめんて帰らないでお願いいいい』



なんとか止まってくれた水瀬が私の後ろに目線を送る



「優ちゃん、俺が見てやろうか?」

『先輩!あ、そういえば頭もいいんでしたよね!』



確かに一番の強い味方いたわ



『あ、でも大丈夫です!』



受験まで残り数日なのに

私の勉強を見てもらうわけにはいかない


澪にプリント直してから帰る!と断りをいれて

水瀬と共に図書室へと向かう



『先輩も勉強頑張ってください!それじゃ!
よし、水瀬行くぞ!さっさと終わらせよう』

「はいはい」



あーあーもうちょっとだけ先輩と話してたかったな

プリントを見つめてため息が出る

私の脳みその足りなさに悲しくなってくる



『私いまから大学受験心配になってきた
進学するかどうかもまだ考えてないけどさ』

「まだ1年だしゆっくり考えればいいだろ
…たまになら俺が勉強見てやってもいい」

『…あんた優しいね。
ってか素直に言えないの笑う』

「教えてもらう立場のくせによく言えたな」

『大変失礼致しました。何卒よろしくお願いします』



澪以外でやっとできた男友達

水瀬との気兼ねないやり取りが楽しくて

勘違いを生んでいることに気づいてなかった