一緒に下校してからしばらく会えていない

それもまぁ仕方ない

連絡はたまにだが取ってるし別に不満はない

これでも一応受験生の身なので

推薦で受かるだろうと高を括ってはいるが

一応勉強もちゃんとしている

俺は完璧なんでね

やる時はやる



「翔、ここってこれで合ってんだよね?」

「あー、うん、そう、あとそれやってんなら
こっちの問題もできるようにしといた方がいいかも」

「わかった。ありがとう」

「んー」

「…なんか雰囲気柔らかくなったよね」

「あ?」

「口の悪さは変わんないけど」

「うっせ」

「優ちゃんのおかげかなー?」

「…そうかもな」



俺の言葉が予想外だったのか

鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている琉生

なんだよ、俺も人の心はあんだぞ



「まぁその気持ち、わからなくないけどね」

「ハァー?どういう意味だよ」

「そのままだよ、じゃ俺はそろそろ帰るね」

「あ、俺も帰る」

「あぁ、ごめん。今日は一緒に帰れないんだ」



今日はっていうかこういうこと増えるかな

何か意味ありげに言う琉生



「なんだよ!隠し事なしって昔約束したろ!」



吐け!と捕まえる

めんどくさいと顔に書いてある

スマホをタップし写真を見せられる



「え……えぇ!?嘘だろ!?いつのまに!?」



見せられたのは琉生と見たことある女の子

優ちゃんの友達の澪ちゃんだった



「翔がヘタレかましまくってる間に、ね」

「あーーーーーーーうぜーーーーー
本当のこと過ぎて泣きそーーー」

「そういうことだから」



じゃ。といい笑顔をし去って行く

まじで…いいなぁー…羨ましい…

唯一の親友に裏切られた気分だ

ぐすん…と複雑な気持ちのまま

大人しく一人で帰る

俺も会いてーと思っていれば見つけた

え、優ちゃん流石過ぎない?

やっぱり俺達運命なんだ!と

ウキウキしたまま声をかけた



「構ってやれなくてごめんなー?
寂しくないか?」



とおふざけ半分で聞けば

棒読みでサミシーナーと言われる

会話をしてて気付く

ジャージを着ていることも不思議だったが

そんなことよりも

そのジャージの名前の刺繡に目がいった

優ちゃんって苗字なんだっけ

問えば、小鳥遊ですけど…?と答える

じゃあその水瀬って誰だよ

あ!澪ちゃんかな?って思ったけど

澪ちゃんは優ちゃんより背が低いから

こんな萌え袖になるわけない

…マジで、誰だよ。

問い詰めようかと思ったが

俺の想像に過ぎないし

せっかく会えたんだから

変なことを考えるのはやめた



「なんでもね、途中まで一緒に帰ろうぜー」

『…はい!』