夏休みも残り僅かになった

午前中は琉生と買い物をしさっき解散した

このあとどうすっかなーとスマホを見ていれば

声をかけられる

こんなの日常茶飯事なので適当に返す

お茶を誘われパッと顔を見る

…うん、前の俺だったら快諾してたな

女特有の香水の香りを纏わせている

こういうの好きだったけど

なんか、臭く感じるな

「…俺これから用事あるから無理かなー」

やんわりと断っていれば

優ちゃんに背格好が似た子を見つける

人だかりで顔が見えない

あーこの香水臭いのかいでたら

あいつの匂い忘れた

なんか清潔な感じの匂いだったんだよなー

石鹸かな…と我ながら気持ち悪いことを考えていれば

バチッと目が合う



「『あ』」



思わずフッと笑ってしまった

似てるやつを見つけたんじゃなくて

おまえを見つけるの得意になってたんだな

タップして電話を掛ける

わかりやすい棒読みをする

いや、明らかに俺って気付いてただろ



『流石顔面国宝ですね。どこでもモテモテ』

「言い方に棘があんなー。
あっ、もしかしてやきもち!?」

『はぁ!?そんなわけないです!さようなら!!!』



そんなわかりやすい反応しといて

やきもちじゃなかったら何だって言うんだよと思いながら

ブチッと電話を切られる

おーおー先輩の電話をぶつ切りするなんて

いい度胸じゃねーか

未だに話しかけてくる女を無視し

逃げようとしてる優ちゃんに

後ろから思いっきり抱き着くように

首に腕を回せば

小さな悲鳴をあげて痴漢!と騒ぐ



「誰が痴漢だ!寧ろ俺に痴漢されるなら本望だろ?」



少しの間を明けて否定した

クスクスと笑っていれば

騒いでいたので注目されていた

俺はあんま気になんねぇけど

こいつは気にするのか。と手を引く



『…勘違いするって言ったのに』

「あ?何か言ったか?」



聞こえてないフリをする

勘違いしてくれていいんだけど

勘違いしてそのまま俺の事ちゃんと見てよ

好きになってよ