「年寄りは引っ込んでなよ。ここは俺が! タケミカヅチ!」
タケミカヅチが雷を放ってくる。
「イカネさん!」
それに対抗する私は、イカネさんを召喚。
彼女の放つ雷で相殺した。
「………オモイカネ」
「うふふ、ご無沙汰しております。タケミカヅチ」
にこやかに挨拶して、一変。
イカネさんの背中に般若が見えた気がした。
「この方に手を出すというのなら、わたくしがお相手いたしましょう」
「いつの間に、ツクヨミノミコトと親しくなったんだ」
「……親しくはありませんわ」
イカネさんの美しい御尊顔が歪む。
そんなにツクヨミさんが嫌か。
「……事情はわからんが、俺はこっちの主人の願いを叶えねばならんのでな」
両手に雷を纏わせたタケミカヅチの相手はイカネさんに任せる。
「なんか知らないけど、あんたたちをやっちゃえばいいんでしょ」
桃木野柚珠が蔦を伸ばしてくる。
「急急如律令!」
私はイカネさんに渡されたお札で召喚した。
人型をとったそれは、襲いかかる蔦を瞬時に斬り刻む。
艶やかな長髪を靡かせ、肌色の多い異国の踊り子の服を纏う扇状的な容姿の美女。
攻撃を兼ねた舞が終わると、両手の鉄扇をたたんだ。
「アメノウズメ、要請により参上いたしました」
「……ボクの方が、戦ってる時もカワイイし」
花吹雪を散らす桃木野柚珠の闘争心に火をつけた。
「ウズメ、相手をしておやりなさい」
「御意に」
タケミカヅチと雷を撃ち合うイカネさんの命令に、アメノウズメは艶めかしく笑った。
「美人の下僕、アタシも欲しい!」
アメノウズメと桃木野柚珠の可愛く美しい戦いに、興味を示したのは咲耶だ。
「召喚術は火を出したりするより難しい。咲耶にできるかどうか……」
「できるもん。だってアタシ、コノハナサクヤヒメの生まれ変わりだからねっ。急急如律令!」
陽橘の心配をはねつけ、咲耶は見様見真似で召喚する。
彼女の正面に光の塊が膨れ上がり、人型をとる。