「火宮さん、いつまでだんまりを続けるおつもりですか」
「皆、あなたの言葉を待っているのですぞ」
「とっとと話して楽になりましょうや」
「我々も暇ではないのでね」
火宮を責める、四人のおじさんの声。
これってもしかしなくても、五家の集まり?
先輩を見ると、真剣な顔で頷いた。
「……我が無能な愚息が迷惑をかけた。あやつは破門とする」
火宮当主はたっぷりと間を開けたあと、先輩を切り捨てる発言をするも。
「いやね、おたくのお子さんの処分を聞いてるわけじゃないんですよ」
「何故隠していたか知りたいのです」
「子供とはいえ鬼の封印が解けたのだ。一大事だろう」
「よもや、鬼を使って武力で我らを従わせようとしたわけではあるまいな」
「そんなことは……」
四人のおじさんに一蹴された。
ごまかしは通用しない。
「生まれ変わりの花嫁のことも、隠していたようであるし」
「…………」
咲耶のこともバレてんだ。
「愚息が勝手にしたことであります。我は報告を受けておらぬ」
「あれ? おかしいなー。文化祭で火宮当主と一緒に花嫁を見かけたけど」
雷地が口を挟む。
火宮当主は、余計なことをと舌打ちした。
「なんと」
「それはまことか」
「隠蔽の罪は重いですぞ」
「見間違いでしょう。仮面をつけているのだ。勘違いしても不思議ではあるまい」
「この状況で建前を持ち出すとは、愚かしい」
呆れるおじさんに加勢する、少年の声。
「火宮夫妻と来てたよね、陽橘の彼女さん?」
「うんっ、ハル君かっこよかった!」
「咲耶っ……!」
「小娘め……」
雷地の質問にケロッと答える咲耶に、焦る弟君と火宮当主。
咲耶は自分のしでかしていることをわかっているのか。
今、火宮は不利な立場に立たされているんだぞ。
私は妹がそんなバカじゃないと知っている。
何を考えているんだろう。