「奇遇ですね,朱鳥さん」
「何でいつもいつも血夜くんに会うの……? たまたまちょこっと寄ろうと思っただけなのに……」
「心外だなぁ,先にいたのは僕の方なのに。それとも,逢いに来てくれたんですか?」
仕返しのしかたが,ちっとも可愛くない。
ほら,と指を指された先にいるのは,知らぬものはいない校内イケメンランキング2位と3位の先輩&後輩。
友達だと噂に聞く2人が座る,とびきり華やかな空間に私は目を遠くした。
「あ,ほら。気を使って手振ってくれてます。ってことで一緒にどうですか?」
場所は,某ファストフード店。
さらりとナンパ? されて,断る口実も見つから無いまま横並びになる。
「今からでも戻ったら?」
受け取っていた商品まで取りに行って,そのまま私のとなりに置いた血夜くん。
「ここが今店内でもっともいい席なんです。友達は一生ものだけど,好きな人はその一瞬一瞬が見逃せないから」
そこまで言われると,もう。
私には反撃の手立てがなかった。
それどころか,当たり前のように告げられた友達は一生と言う言葉を,遠くの先輩達に聞かせてみたいと思う。