何でですか?
その言葉に,つい言葉を止めた私。
何でですか?
何度反芻しても,戸惑うばかり。
そんな風に聞き返されるとは思わなかった。
なんて答えよう。
鬱陶しい?
でもいくらなんでもそんな言葉を向けるなんて……
本音でも,別に鬱陶しいと言うほどじゃない。
ただ,困るだけ。
毎日毎日聞かされ向けられて,そろそろ困るだけ。
「もしかして,答えられないんですか? 朱鳥さん。朱鳥さんから"はいはい"を奪ったら,そんなにちゃんと見てくれるんですか?」
もう……っ,今,話しかけないでよ。
「ふふ,可愛い,朱鳥さん。今,すっごく顔赤いですよ……何でですか?」
「うるさいっ,何だっていいでしょ!! おはよう,じゃあね!」
「ちゃんと挨拶してくれるの,朱鳥さんらしいよなぁ」
廊下をとんでもないスピードで飛び抜けるヴァンパイアは,多数の生徒に目撃され。
ヴァンパイアにとって何が起こるか分からない,お昼の七不思議の1つとして,噂の的となった。