くっついて,離さない。



「え,すみません朱鳥さん。何を不安がってるか分からないくらい最高なんですけど。ただ,1つだけ確認いいですか?」

「かく……にん?」



なに,と不安になる。

今話したことは全て,きっと灰になっても改善できない。



「簡単に嫉妬して簡単に拗ねて……て,唯一"実感"が込もってた気がするんですけど……もしかして,朱鳥さん誰かと付き合ってたことでもあるんですか?」



じとりと視線が突き刺さる。

私は何を言ってるのか分からなくて,数秒躊躇した。

そしてはっとする。

私は,確かにその気持ちを知っていて。

それが簡単に沸き上がることを知っていて。



「ノー,コメントで」



口の前でばってんを作って見せた。

誰かと付き合ったことなんてない。

好きな人だって,1度もあり得なかった。

だけどそれを言ったら,私の恥ずかしくて隠したい過去が曝されてしまう。



「何でですか誰ですか朱鳥さんにそんなこと思わせる羨ましいやつは。学園のやつですかそれとも中学のやつですかちょっと名簿貰ってきても……」



突然詰め寄られて,両肩に触れられて。

血夜くんの綺麗な顔がアップになって。

つい,赤くなってしまう顔。

その言葉よりも大きな自爆に,血夜くんは



「え」



と固まった。