「いいですか朱鳥さん。すぐ泣くって言いますけど,人前で泣くのを見たことは1度もありません。でもそれを僕に言うってことは,それをみれるのは彼氏の特権ってことですよね? 最高ですか。っていうかその理由が悲しみなら僕が原因を潰してあげますし,良いことなら泣き顔なんて可愛いだけです。意地っ張りなところは朱鳥さんなら魅力でしかないし,どれだけでも付き合います。朱鳥さんが甘える? それどんなご褒美ですか,抱き締めてその倍甘やかしますけど。そんなこと許されていいんですか僕。朱鳥さんの欲しいもの? 行きたい場所? 僕言いましたよね,朱鳥さんのことなら分かるって。朱鳥さんも自分で言ってくれたじゃないですか。朱鳥さんの本音なんて,全部見抜いてあげます。僕にしか出来ないでしょう? そんなこと」



本当にちゃんと私の話を聞いていたらしい血夜くんは,340字きっちりと語った。

そのプレゼンは,確かに息を吸う必要がある。

何を想像したのか,どんどん輝いていく表情に,私はただ聞いていることしか出来なくて。

染まっていく顔でただ耐えることを強いられた。

早口すぎて,口を挟む隙間もない。