ずっと正面から向けてきたのは血夜くんの方なのに,血夜くんは珍しく戸惑って。

躊躇うように一呼吸あけた。

ふんわりと,流れる空気が熱い。



「好きです,朱鳥さん」



熱を持った瞳が,私を捉える。

私の喉に,熱い空気が落ちた。



「私,結構すぐ泣くし,意地っ張りだし。彼氏なんて出来たら,絶対甘えるし,甘えすぎてめんどくさいし。何欲しい? どこ行きたい? そんなの答えられないし,絶対その日が終わってから答えるし」



私を扱えるのなんて,受け入れてくれるのなんて,両親しかいない。

だって,ヴァンパイア1めんどくさい自覚がある。

だから血夜くんは今の今も振り回されて,名前も知らない同級生には一方的に責められた。



「それ全部解決したら,朱鳥さんは僕の彼女になってくれますか?」



ずるい私は,答えなかった。

その代わり,向ける瞳を逸らさない。

長文でも話すかのように,血夜くんは突然大きく息をすって。

私は突然のことに,目を丸くする。