そんな心を見透かす様にして,血夜くんが言った。



「好きです。朱鳥さん。夏休みより,毎日逢える学園の方が良かった」



耳を通り抜けていかない言葉が,脳に留まる。

今までの分全部,溜まったままだった。

だって,全て真っ直ぐ通り抜けさせるのを,血夜くんがだめだと言ったから。

最初は,理解が及ばなかった言葉。

どうして綺麗な瞳を,私に真っ直ぐ向けてきたのか,分からなかった。

だから,それが当たり前の顔して断った。

信じられなくて,理解できなくて。

怖いからと,いらないと言った。

なのに,私から離れてはいかなくて。

諦めるわけでもなくて,血夜くんはいつも私の側に現れる。

後になってからじゃないと,何も言えない私の側に。

後なんて作らせないかのように,ずっと,ずっと。

毎日フラれても,同じ言葉を,気持ちを送り続けてくる。

受け取ってと,見ないふりする私に差し出してくる。



「聞こえなかった」

「え……?」



いつもと違う返しに,血夜くんは目を丸くした。

恥ずかしくて,私は顔の角度を変える。

これで,最後にするから。

最初で最後,初めてちゃんと聞くから。

お願い,もう一回,言って。

ちら……と,下げた目線をあげて,血夜くんに合わせた。

目があった血夜くんは,顔を赤くして,驚いた顔をしている。