「すみません。朱鳥さんが反省しなきゃって落ち込んでるのは分かったんですけど……僕に振り回されてるだけなんだって思ったら,可愛くて」



そうだよ,元を正せば全部血夜くんのせいだよ。

ずっとずっと,血夜くんが私を振り回してるの。

でもそれとこれは別の話で,可愛いとも程遠い。



「逢えなくて寂しかったのは,僕だけじゃなかったんですね」



カア……と耳が染まる。

どうしてバレてしまったんだろう。

そんな話,1つもしてなかったのに。



「月が綺麗ですね,朱鳥さん。ヴァンパイア日和です」



本当は手が届くんだと知ったら,血夜くんはそれでも手を伸ばすのだろうか。

私はまだ,怖いと思ってる。