そりゃそうだよ。
めんどくさいし,意味分かんないし。
話したこともなかったのに,突然好きとか突撃してくるヴァンパイアのこと,どう信じろっていうの。
「あー待って待って,朱鳥さん怒んないで! 顔,すごい寄ってるから……!!!」
別に,怒ってなんて……少しもないのに。
「伝わってなくて……って言った? けど」
「? はい。振り向いてもくれなくて,僕の気持ちすら届いてないような気がして。朱鳥さん,そろそろ僕のこと,親戚か何かと間違えてるような気がして」
うぐっと,何かを飲み込んだ。
間違えてるわけじゃない。
ただ最近,ようやく血夜くんに慣れてきて。
純粋でなつっこい血夜くんのこと,親戚だと思えばいいかと思っていたのは事実だった。
「……どうしたら,どうしたら伝わったって事になるの」
「さあ,なんだろう。僕も,正直朱鳥さんに何を求めてるか,分かってないんです。迷惑かけたいわけでもなくて,ただ,僕の好きって……」
「親戚設定止めて,真面目に聞いて……返事し直すぐらい,考え直せばいいの? ……変わらないかも,しれないけど」
付き合ってと言われたのは,初めの一回だけ。
え,ごめんなさい。
そんな風にして断ったのが,最初で最後。