「何してるんですか? 朱鳥さん」



当然のように現れた存在に,私は目を丸くした。



「それ,こっちの,セリフ……」



その辺どころじゃない。

ここ,人間の住宅地なんですけど……

まさかここに住んでるなんてわけもない。



「僕ですか? 僕は……朱鳥さんに連絡してみようかなとか思ってて,だったら通話がいいと欲張って。気付いたら3日目だったものだから,逢いたくなっちゃって」

「そうじゃなくて」

「あ,住所ですか? 朱鳥さんと同じ地区に住むヴァンパイアに聞きました。飛んでたら,朱鳥さんが飛んでるのを見かけて」



どんな視力なの。

いくら夜目がいいと言っても,スピードを出して飛ぶヴァンパイアを判別できるなんて異常だ。



「それで,どうしたんですか? まさか人間に告白されるところなんて言わないでくださいよ」

「こっちは昔から引きこもりで今は寮生活のヴァンパイアなの。そんな知り合いいるわけないでしょ」

「それはよかった」