「光…ほんといい子に育ったね」
「姉ちゃんのおかげ。」
いつも通りにこって笑うから、涙がこぼれそうになる。
私には勿体無いくらい、よく出来た弟だ。
「…姉ちゃんどうやってきたの?」
「彗に連れてきてもらった。」
路肩に駐車している黒のSUVを指す。
彗もこっちに走ってきた。
「彗兄…」
「よっ!無事で良かった。」
「ごめん、忙しいのに。」
「ん、たまには息抜きも大事だよな。」
そう言って光の髪をぐしゃぐしゃと乱す彗。
問い詰めるでも、否定するでもない。
彗はこうやって自然に人の気持ちに寄り添える人。いつも天然なのに、人の気持ちを汲み取ることが得意なの。
…そういうところが好き。