「え、海ちゃん料理できるの?」
目を丸くする恒さん。
「…まあ、人並みには」
「でもこの家なんもないよ」
って彗が冷蔵庫を覗きながらいう。
彗の家に生活感がないことも、冷蔵庫が空っぽのことももちろん知ってる。
「家にと思って買ったのがあるから。」
そう言ってスーパーの袋を見せる。
今日は長居するつもりじゃなかったし、スーパーで適当に明日の食材を買ってきたの。
それをおつまみの材料に充てればいいだけ。
「それ使うんじゃねーの?」
「いいよ、また買えばいいんだし」
今日使う予定だったわけじゃないし、明日また買えばいい。
じゃあお言葉に甘えて、なんて言われるから、盛り上がるみんなを横目にキッチンに立つ。