しょうがないので事情を話すと、


「じゃあご自宅までお送りしますよ!」


「いや、でも」


「あー…でももうスタジオに戻らないといけないので、彗さんと一緒にお送りしていいですか?」


「でも今日、徹夜って…」



「今日は機材トラブルであとワンシーンだけに急遽変更になったので、戻ってから1時間ほどで終わると思うのですが。夜道歩いて帰られるのも危ないでしょうし。」



もう自転車屋さんは空いてるわけない。


歩いて帰ったら1時間くらいかかる距離。


大都会なわけじゃないし、夜中はわりと暗い道が多い。


確かにこの夜道を歩いていくのはちょっと怖いかも…



「彗に迷惑はかかりませんか…?」



「大丈夫です。私がいれば関係者として入れますので。もしあれでしたら彗さんの楽屋でお待ちください。」


もうこんな時間で眠たいでしょうし、って言ってくれる夜川さん。


…何ていい人。