「あ、いえ、全然!」


夜川さん、聞いたことのある名前。


彗がいつも優しい人だけど、超敏腕なマネージャーさんだって言ってた人だ。



「私、彗さんの忘れ物を取りに来まして」


「あ、そうなんですね。私は大学のレジュメ頼まれてたの置いて、今から帰るところです。」



「そうですか!本当にありがとうございます。」



「いいえ!では失礼します」


ぺこりと頭を下げて、長い廊下を歩く。


Stellaのマネージャーさんってあんなにいい人なんだ。

たしか5人くらいいるって言ってたような。


彗、私のことマネージャーさんにまで話してくれてるんだ。


…なんか嬉しい


自転車に鍵を差し込み、ロックを解除して、跨った時、



「ん?」


なんか違和感。


…この自転車、パンクしている。



「どうかされましたか?」


「あ、夜川さん…」



忘れ物を取って、駐車場に向かう途中の夜川さんとまさかの再会。


…恥ずかしい。