引っ越しが具体的に決まった日に、彗から住所や、部屋番号、間取りまで全ての情報が送られて来たから知ってる。
なんでそんなの私に送って来るのかは不明だけど。
「…分かった。」
そう言って彗から合鍵を受け取る。
ただの鍵なのに、宝石みたいにきらきら輝いて見える…
「あー久々に海のシチュー食べてぇ。」
顔を覗き込んで、おねだりモードで可愛く笑う。
「……私はパシリか!」
キュンとなる心を誤魔化すように叫ぶ。
「なわけねぇじゃん。世界一大切な幼馴染だよ」
幼馴染、だよね。うん。
ねえ、彗知ってる?
普通は幼馴染に合鍵なんて渡さないんだよ。
「…てか行くの?」
「え、どこへ?」
ハテナって顔を私がすると、
「あの人とご飯。」
店内でレジをしている暁月さんのことを指差した彗。