「なっ、」
「てのは冗談で、明日までに見せてほしいレジュメがあって。」
なんて、心臓に悪い冗談。
分かってる、彗はこういう人だから、いちいち気にしないようにしないと。
彗はあの後すぐに引っ越して、あっという間に隣の部屋は電気がつくことが無くなってしまった。
「…今はないよ。一旦家に帰ったらあるけど。」
ほんと昔から突拍子のないことばっかりするんだから。
「俺今から撮影で、今日は完全徹夜コースなんだ。」
「もうドラマクランクインしたの?」
「ん、だからちょっとまた忙しくなる。」
「そっか。」
「だから、これ」
そう言って、ポケットから何か取り出した。
「これって?」
彗の手に乗せられた、シルバーに光るもの。
「合鍵。」
合鍵?私に?
…これを渡しにわざわざ?
「ごめんだけど、明日の昼までに、俺んちにレジュメ置いといてくれるとすげー助かる。」
場所知ってるよね?、って。