「海ちゃん?」
「…あ、すみません。何でしたっけ?」
なんか言ってたけど、何を言ってるか全く聞いてなかった…
「あー、いや。…てか、あいつ怪しくない?」
不審者、として暁月さんに見つかってしまった彗。
「俺、声かけて来るわ。」
このままじゃやばい。ばれちゃう。
「あー!大丈夫ですよ!花粉の季節だし、あんな人たくさんいます!」
「…そう?」
花粉の季節なんてとっくに終わってるし、苦しい言い訳だけどなんとか誤魔化せた。
「そうですよ!ゴミ変えしてきます!」
彗が店を出て行ったことを確認して、私も後を追う。
「彗っ、何してるの!」
周りに人がいないことを確認して、その背中に声をかけると、メガネもマスクも取って、綺麗な顔を露わにして
「海に会いに来た」
って、心を打ち抜く。