湧き上がってくる黒い感情に目を瞑りたいのに、これ以上は無理みたい。
「あの私急用思い出したので、帰ります!」
急いで財布からお金を取り出して、宙さんに渡して、逃げるように背を向ける
泣くな、泣くな、そう言い聞かせて出口に向かう。
「あっ、ちょっと海ちゃん!」
余計なこと言わないでくださいよ、って宙さんが怒ってる声が後ろからした。
真冬の夜、レストランの外に出た瞬間溢れ出る涙。
「ぅ…ひっ、」
なんで、こうなるんだろう。
やめたい、好きでいること。苦しい。辛い。
もう無理だ。
「え…海ちゃん?」
その声に顔を上げると、
「っ、暁月さんっ、」
コートを着て寒そうに肩を上げて、驚いた表情をしている暁月さんの姿。
周りには数人お友達らしき人がいて、先行っててって暁月さんが声をかける。