「いいから、てか隣じゃん。」


確かによく考えたらそうだなぁ、って思って大人しく助手席に乗ることにした。


「お邪魔します…」


新車の独特な香りがする。


運転席に座って、メガネを取り、また真っ直ぐ見つめて来る。


「海を1番に乗せたかったんだよ」



「なっ、よくそんなセリフっ」


かあ、っと顔に熱が集まる。


また彗はすぐ恥ずかしげもなく、そういうこと言う…



「だって1番お世話になってる人じゃん?」


こてん、って首を傾けて可愛く見つめてくるの。


…そういう意味ね。


「…はぁ、」


もうため息しかでないよ、この人たらし…


ドキッとすること何の気もなしに平気でしてくる。


大学から家までは車で30分ほどの道のり。


電車だと1時間かかるのに、車は早い。


彗の運転する車に乗るのは初めてで、運転してる横顔も見るのも初めて。


鼻が高くて、凹凸のしっかりした輪郭。


彗はかっこよくない角度とか存在しないのかな。