「だから、嶋原君がお母さんいない気持ち……ちょっとだけ、分かるかもしれない」

「そっか。俺達、ちょっと似てるね」

 暫く話をした後、送る、と言ってくれた嶋原君と私の家まで行き、帰りにライムグリーンの傘を貸して、嶋原君は自宅へと帰って行った。

 深入りして、傷つくのが怖いと思っていても、声をかけずにはいられなかった。

 今まで受け身で、ずっと逃げ腰だったけれど、こうやって自分から誰かに一歩踏み込もうとしたのは、初めてだった。