~恵口希花~
九月に入ると、まだ暑さは残るものの、すっきりした天候が続いていた。
そして太陽が隠れた、曇り空が広がった今日、私はそわそわした気持ちで学校に行っていた。
「恵口さん、おはよー」
いつも通り挨拶をしてくれる塩見君とは、微妙な関係のまま。
でも、変に告白をされ断って、気まずい関係になるのだけは避けたいと思ってる……。
「今日辺り、嶋原帰って来るかな。明日会えるのかぁ」
嬉しそうに言う石黒さん。
そう、今日は午後から、予報が雨マークになっているのだ。
一ヶ月以上顔を見ていない、嶋原君がようやく帰って来る。
研究所に行ってから、嶋原君のことをちょっと知って、本音を言うと、何だか早く会いたかったのだ。
そして昼休みが終わり、午後の授業を終え終礼が始まる頃、ザーッと強い音を立てて雨が降り始めた。