~嶋原空也~

 消失した後の世界は、春夏秋冬がなく、生暖かい梅雨のような天候が続く。

 カレンダーはなく、枕元に置いてある時計で日付を確認にすると、明日で丁度消失して一ヶ月。 

「いつ戻れるのかな」

 よく俺の部屋を訪ねてくる渕上慎吾は、窓からゴミのような瓦礫の山を見て、溜め息をつく。

「いつなんだろ。今までこんなに長いことなかったよな」

「僕達、このまま戻れなかったら、どうしよう」

「さすがにそれはないだろ」

 ──とは、言ったものの、もう一ヶ月。

 あちらの世界に戻る予兆はなく、雨人は突然、雨の降り始めたあちらの世界に姿を取り戻す。

 天気予報などもないため、いつ戻れるのかは分からない状況が続くのだ。

「ちょっと気晴らしい外に出ない?」

 慎吾に誘われ、俺達は廊下に出て目的なく通路を歩く。