ズラリ横に並んでいる棚には、写真が沢山並べられている。
一番近い物を見ると、もう大きくなった嶋原君と博士、白衣を着た研究員に、父親と、兄か弟……?
「僕は、雨人が世界を消失してしまわぬよう、脳細胞の研究をしているんだ」
まだ結果は出せていないが、前進はしている、との言葉に、私は頷くことしかできない。
「ごめんなさい、お名前を聞いてなかったね。名前は何て言うの?」
「恵口です、嶋原君にはいつも良くしてもらっています」
「もしかして、空也の彼女さん?」
「いっ、いや違います」
ククク、と笑う博士に慌てて手を振る。
「でも、早く……帰って来てくれたらいいな」
「そう言ってくれる友達がいて、空也は幸せだよ」
この出来事が、八月末。
しかし、依然、一週間後までの天気は晴れだった。